はきだめ

クソガキのなんかの記録

愛しのアイリーン、感想

※2018年の9月14日公開でBlu-ray、DVDも既に発売されておりますが感想を書く上で話の内容(流れ)に触れることが多々、いやほとんどあると思います、ネタバレが苦手な人、また、ど素人が書く文章だと割り切れないで読めない方はこの記事は読むのをお勧めしません。

原作も全く読めていない(読んだらまた考えが変わりそうだ〜)ので原作至上主義の方も読むのはお控えください、自分でもかなりトンチンカンな考えをしてると思うので…。

 

 

観た。観たからこういう感想を書こうと思ってる訳だけども、その理由は最近になって『TEAM NACS』という演劇ユニットが気になったからだ。特に安田顕さんが気になっていて、彼が今まで出ている水曜どうでしょうや、ハナタレナックスも気になっていたのだが、追うには膨大な量あるということも分かったのでまずは映像作品から観ていこうという考えに至った…が…なんかそういう軽い考えで観るにはこの映画はキツかった。なんかそういう浅はかな考えも含めて私の感想(というかただの殴り書きだけども)を読んでいって欲しい…。

 

舞台は小さな小さな村だった、主人公の宍戸岩尾(安田顕)はパチンコ屋で働いている、四十代の男だ。見るからに女性とは無縁そうな感じ。両親がおり、父親の方はボケている。私の祖父もボケがひどくなっているのでここですでに他人事ではない感じがした。家は昔ながらでプライバシーもクソもヘッタクレもないような家だ。障子なんてあってもあんなのただの紙だしな…。

早くけえって来いって岩男が誕生日だったからなんだな、ゴリラの小さいキーホルダーをもらった良江とはデキていたんだろうか、いやデキてはいないんだろうな、勝手に向こうがしてきたけど性には抗えなかった感じがする。

息子の自慰を障子に小さい穴開けて覗いてる母親の場面で心が折れかけた、しょうもない場面だけどそれだけで田舎の閉鎖的な空間が分かるのがなんとも言えない…。

大事な大事な息子なんだろうな、分かるけどその過保護さは時として気持ち悪いんだよなあ…って思って見てた、この時はあんまり母親(ツル)に同情はできなかった。

岩男のために嫁さ見つけてやるってのは分かるけども…な…?

その後同じ職場で働く斎藤が愛子(子持ちでバツイチ?)とシたって聞いた(ここの説明も生々しくてゲエって感じだった)から自分も、みたいな感じで行くんだよな映画だと、その前にぬいぐるみくれたから好きかもみたいな描写はあったけど。フィリピンパブで飲んでたんだけどその時いたマリーンっていう女性を買ってセックスに持ち込もうとする、けど愛子のことが気になって虚しいわで結局せず。(多分愛子の外見も清さがあったから斎藤とシちゃうような女だとは思ってなかったんだろうなあ…幻滅って言うんだろうか)でもマリーンに勃起してたことを指摘されるあたりは岩男自身は結構欲望に忠実なんだろう。

愛子は愛情とセックスはきっと別で考えてる人間だから人妻なのに斎藤とも関係を持てるわけなんだよな  これも生々しくてフゥン…って感じ…。岩男は好きだからセックスしたいって思う人間なんだろうなあって感じ、結構純粋なのでは?

岩男は結局愛子には振られて、家に帰る。するとツルは「子持ちだのに職場の男何人にも身体許すような女宍戸家の敷居跨がせねえ!」って怒ってくる、いやほんと田舎のコミュニティ狭すぎて怖いわ。宍戸家のあたりを強調してくるあたりこの家を大事に大事に守ってきたんだろうなって感じた。二人の怒鳴り合いを見ていた父は「親も家も捨てらんねえような男に女は来ねえ!」ってボケが治ったみたいな発言。ツルは「岩男が出てってもええんか!」って返すのだがこのあまりにも子離れできないのはなんでだろうか?

翌朝岩男は姿を消した、消していた間に父がボケながらもコツコツ作っていた揺り椅子が完成した。なんでもツルとの新婚旅行で熱海に行った時の旅館にあった揺り椅子を思い出したらしい。夫婦、父の1番幸せな時だったのだろうか…作り終えた途端父は倒れて亡くなってしまった。

その後岩男は帰ってきた、自分の父親の葬式に。300万で買ったアイリーンを連れて。結婚と言えば聞こえはいいけど周りからは買ったようにしか見えないんだよな、アイリーンの母親にも仕送りをするっていう約束付きだ。実際にこういうフィリピン人とのお見合いツアーなんてのはあるらしい、岩男は愛を金で買ってきたのだ。

ツルの周りの大人もなんだそのアマはとかなんだ罵り、アイリーンを見たツルは猟銃をアイリーンに向ける、国籍が違うだけでこんな扱いなのか?ツルのアイリーンに対する目つきが本当にゴミを見るような目でひたすら辛かった…。

こんな状態じゃ家にはいられないのでホテル生活をする二人。途中で岩男がラブチェアーっていうのに乗ってたんだけど使い方がわからなくて調べたらなんでも高齢者のセックスを補助するために作られた機械なんだそうで…高齢者ばかりの田舎のラブホだからあるのかそれともラブホにこういうのが完備されてるかは…だが…。

ちなみにこの時点でまだ二人はセックスはしていない、アイリーンは初めては好きな人に捧げたい純粋な女だったからだ。だからこの時点では岩男のことは好きではなかったというのが分かる。だんだん好きになってるのではあろうけど、じゃないと辞書いつも持って日本語勉強したりはしないだろうし…。

少し時間が経ってツルの家に戻ってきた岩男とアイリーン。ツルはアイリーンが日本語の意味を分かっていないって知ると罵詈雑言を笑顔で浴びせる訳だけどもアイリーンも母国語で「そんな笑顔には騙されないからね」って返す。強かな女だとお見合いツアーの仲介人は言っていたけどこういうところなんだろうな。

その後塩崎というヤクザ(外国人売春婦の斡旋をしている)がツルと手を組んでアイリーンを引き離そうとする。

アイリーンを追い出すためならヤクザと関係持っても構わないツルの姿勢とかも理解し難かったんだよなあ~子供って親から巣立つのが普通な気がするし岩男からもそういうのは感じられるんだけどな  なにせツルが許さない、自分が今まで守ってきた家にフィリピン人連れてこられちゃあそりゃ頭にも来るけど…

頭にも来るって分かってるけど~!!!!分かるんだけども~!!理解したくねえ  無理や  私には無理、なんとなく察しがつくだけにこれ以上は理解したくない、同情が1番良くない…。

塩崎が来るまでの間、岩男は琴美って女と見合いさせられてた。なんとか二人を引き離そうっていうツルの考えなんだけど実に滑稽というか…?まあ車で送った時に寝た琴美に欲情して自慰をはじめちゃったことで琴美には逃げられるんだけども…。いやちょっと精のつくもの飲まされたからってそこまで自分の理性がコントロールできないことってある?

琴美にも逃げられて家に戻ってきたら塩崎がアイリーンを攫っていくところで、岩男はそれを追いかける、「アイリーン!!!」って叫ぶところは本当に妻を思う夫の姿だった、その前にもアイリーンの事を綺麗だな、って言ってやっとキスしたりと徐々に2人が近づいていくシーンはあったけどここはもうそれが表に爆発して出たような状態だ。

その後岩男は塩崎を殺し、アイリーンと2人でそれを埋める。いわば『秘密の共有』だ。言葉じゃ通じ合えない2人だったけどこれを機にやっと結ばれた感じがしたのだ、セックスもその直後にしたし…。

 

そう思った私がアホだった、岩男は塩崎の仲間に返り討ちされるんじゃないかとかそういう恐怖から愛子に「殺した」って言っちゃうんだよ、それで愛子は信じたかは分からないけど、愛子と関係を持ってしまった。セックスもしたし秘密だって話してしまった。それだけで岩男とアイリーンの世界が壊れちゃったと思うんだよ、だって言葉も通じない、この殺した記憶とその共有こそが2人のかすがいだった訳じゃないのか?琴美にも関係を迫ろうとする。この岩男という男はなんなんだろうか、アイリーンは寺の住職と普通に親睦を深めていただけなのにそれを疑うとか…アイリーンは秘密にしてたのにな!?

だから岩男が亡くなった時は正直なんとも思えなかった、安田顕が亡くなったと思えば悲しいがいま彼は岩男だ。でもここからの展開を見て浅はかだなあ自分とまた思わされる。この映画見て何回自分のことアホだと思ってるんだ…。

岩男が亡くなる前からコツコツ森の木に何かを彫っていて、なんだろうって思うんだけど 彼はずっとアイリーンって字を彫ってて、最初なんでこんな事してるんだろうって思ってたんだけど、前述した通り女の経験というか人の愛し方が40歳にもなって分からない男だったんだこの男…そうだ…なかなか言えなかっただけでちゃんとアイリーンのことを愛していたんだ…って思わされて、この後必死に岩男を探すツルのセリフで今まで抱いていた疑問が解消する。

「1番目と2番目の子が流れて3番目の子が2つで肺炎で逝っちまって、大願かなって授かったのが4番目の我が岩男だ。乳離悪くて8つまでおっぱいしゃぶって10までションベン垂れる子だ、気が弱くていっつもビクビクして要領悪いが地道で堅実だけが取り柄の男だ…。」

台詞そのまま持ってきたがこういう事だ、ツルの異常なまでの岩男に対する執着がここでようやくわかった。物語後もう10分とないんだけどな…。

そしてツルはアイリーンに姥捨を命じる。姥捨山とか聞いた事ないだろうか?労働力のない老人(近しいものとして親などが多い)を山に捨てる、みたいな昔の日本の風習だ。この時ツルは失語症?声が出なかったので身振り手振りでアイリーンに伝えて、そこからアイリーンは寺の住職に教えてもらった姥捨山の話を思い出す。

アイリーンは日本に来て沢山勉強していた、結局物語最後でも日本語はカタコトだったがソレが寧ろ良さを引き出している気がする。一方の岩男は「仕送り」のダガログ語しか話せなかった、いや、不器用なだけだったんだろあなたは、分かった、分かったから…。

雪の中ツルをおぶるアイリーン、結局捨てるのか、ツルとアイリーンは最後まで分かり合えなかったな(縁が切れるな)って思ってたらここで

アイリーンが「こどもいるど!お○んこいっぱいしたから、きっといるど!」って言うんだよ、だから帰ろうって、子はかすがいってよく言ったもんだよなあ…(何様?)

ツルもこれで岩男が完全に死んだわけではない、アイリーンの中にまだいるんだって思えたんだろうな…その後のツルの回想は辛かった、岩男を産んだ時の映像で、姑からはお前は使えねえ、なんていびられて、難産だからってなんだよって話だよなって現代なら思うけど昔はそうにはいかなかったんだろうなって…。

 

(まとめ???)

この映画はツルのキャラクターが非常に濃かった、超個人的には父方の祖母の話し方に似てて(祖母はもっと優しいけど!)なんか妙に近いんだよなあって思ってしまった。岩男とアイリーンのセックスを見て月経が来たツル(母親)とか外で突然自慰はじめたりとか、アイリーンにつけてあげた口紅をすぐ捨てる愛子とかな、本当に誰がそんなの見たい!?!?っていうくらいキツイものを見せてくる…個人的にそういう話は好きな部類の気持ち悪さなので大丈夫?だけども…。

ここまで超人的な展開はないんだろうけど、いや、本当にこういうことが明るみになってないだけで実際にもあるのでは?っていうもしものことを考えてしまう、そういうのがこの映画にはあるなあって思った…とにかく登場人物がいそうな感じなのがそれを助長させてくるんだよな…。

後個人的には岩男が愛子に殺した、って告白した時に愛子がセックスを受け入れてくれたのは男のもつ理想としての女性像?なんて言うんだろうなあ、「優しい女」っていう理想が結構表に出てる映画かな〜とも思った、アイリーンもしかり、マリーンも優しく岩男を包むような感じだったし、琴美だって逃げた後また岩男に会いに来ているのだ。失礼な言い方すると岩男にとって都合のいい感じがした。でもそれじゃ岩男は結局満たされてないからそこまで岩男を嫌だなって思わない。

ツルに大事に大事にされてきたから、岩男の中にも知らないうちに処女崇拝みたいな思考が宿っていたような気もする、そう言うところがこうエグくて少し気持ち悪いけど純愛って感じられたんだろうな…。

変な話親子愛だったり岩男からアイリーンへの愛だったり、色々な愛を感じる作品だった。前半が本当に気持ち悪かっただけに後半はとびきり美しいと思う。まだ観ていない人は是非観て欲しい…!

 

エ〜ン以上!感想ブツブツ書いてたら少しスッキリした、自分の中で考えがまとまった気がした〜!でも次は明るい映画見たいかな!曲がれ!スプーンでも借りようかな!?安田顕ちゃんと見るならもう一回下町ロケット見るべきか、悩みどころだ…。